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本町スタンダード研究所

スタンダード・インプット・アウトプット

資本主義と市場原理主義

資本主義は仕組みとして不完全。これだけは間違いなく歴史において証明されている。

 

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 世の中には民主主義と資本主義はともに手を携えて進んでいくという仮定が広くいきわたっている。実際はその関係はもっとはるかに複雑である。資本主義は民主主義を平衡回復力として必要とする。資本主義制度は自力では、均衡に向かう性向をなにも持ち合わせていないからである。資本の所有者は自分たちの利潤を最大限にしようとする。彼らの考えるままに任せておけば、彼らの資本蓄積は事態が均衡を崩すときまで続くだろう。マルクスエンゲルスは百五十年前に、この資本主義制度をきわめて見事に分析してみせた。それはある意味では、古典派経済学の均衡理論より優れていたと私は言いたい。二人が処方した治療策の共産主義は病気そのものより悪質だった。だが、彼らの悲惨な予言が現実のものとならなかったのは、民主主義諸国でそれに対抗する政治介入があったからだった。

 不幸なことに、われわれはいままた歴史の教訓から間違った結論を引き出す危険に見舞われている。今回はその危険は共産主義ではなく、市場原理主義に発するものである。共産主義市場メカニズムを廃止し、すべての経済活動に集団的な統制を課した。市場原理主義は集団的な意思決定を廃止し、すべての政治的、社会的価値に対し市場価値絶対優先主義を課した。いずれの極論も誤っている。われわれが必要とするのは政治と市場との間の、またルールづくりとルールに従うプレーとの間の、正しいバランスなのである。

ジョージ・ソロスグローバル資本主義の危機』p32-p33)