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租税、会計、経済学その他の覚え書き

スミスの”戻し税”

スミスは輸出奨励策の一部として”戻し税”を理解している。そのうえで”戻し税”制度により「国内の税収は若干減少し、関税収入はかなり減少する。だが、産業の自然な比率、自然に生まれる分業と労働の配分は、関税や物品税のために多少なりとも乱されるのだが、戻し税制度によって本来の姿に近づくだろう。」と位置付けている。輸出奨励金制度の批判とは逆に”戻し税”については肯定しているのが興味深い。”戻し税”を税による価格の歪みの補正とみるか、輸出企業の補助金とみるか、原論的な分かれ目はこの部分の立ち位置にあるのではないだろうか。

 

注意が必要な点は”戻し税”の定義である。国富論ではほとんどの場合で「輸入品を再輸出する際の輸入関税の払い戻し」を意味している。輸出に際しての国内消費税の払い戻しという意味では用いていない。

 

現在ヨーロッパではEU委員会を中心に消費税の輸出免税制度廃止が提起されている。理由は不正還付の増大だそうだ。スミスは”戻し税”の不正についてもこう指摘している。

 

 戻し税は、輸出に際して還付が認められた商品が確かに外国に輸出される場合だけに有益であり、対象になった商品がこっそりと再輸入されるようであってはならないことに注意すべきだ。戻し税の一部、とくにタバコの戻し税ではこのような悪用が多く、財政収支にも正直な商人にも打撃になる不正行為が頻発していることはよく知られている。(アダムスミス「国富論」第四編第四章)

 

国富論」第四編第四章は非常に短い章ではあるが、現代においても示唆に富んでいる。