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租税、会計、経済学その他の覚え書き

自由主義と法人税

 日税連の機関紙である「税理士界」(平成28年11月15日付)に、「税理士が絶滅危惧種に陥る日」と題した記事がある。AIの進化によってしても、実質基準や事実認識の判断にはまだまだ及ばない。ましてや税務調査、税務相談は無理だろうというものである。次いで「申告納税制度は自由主義国家における税の世界で最も民主的な手続きとして長い歴史の中で定着してきた。」、「税理士制度はその申告納税制度に極めて重要な役割を担う、いわば自由と人権を尊重し守るために、社会にとってなくてはならない、かけがえのない財産である。」とし、「税理士がなくなる日は永久に来ないものと確信する。」とまとめられている。

 ところで自由主義国家における税とは何であろうか。新自由主義を代表するミルトン・フリードマンの主著「資本主義と自由」によれば、自由主義においては、法人税は廃止すべき税であると指摘されている。国際的な法人税引き下げによる底辺への競争が加速する中、法人税廃止論もどこからかわき上がってくる可能性は否定できない。法人税がなくなれば税理士もなくなる。そんな時代も可能性としてはゼロではないように思う。

 

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 独占を根本から防ぐもっと効率的な手段は、税制改正である。まず、法人税は廃止すべきだ。また法人税を廃止してもしなくても、企業は配当として払い出さなかった利益も株主の所有に帰すべきである。具体的には配当金の小切手を送付するときに、次のような報告書を添付する。「株主の皆様には、一株当たり○○セントのこの配当金に加え、一株あたりXXセントの利益がございます。こちらは弊社が再投資いたしました。」報告を受けた株主は、配当金だけでなく、自分のものではあるが、配分されなかったこの利益も所得税の申告に含めなければならない。この仕組みでも企業が再投資するのは自由だが、再投資に回す利益を明言する以上、株主が配当を自分で別途投資するより企業の投資効果の方が高いときしか、再投資できなくなるだろう。これは、資本市場や企業活動を刺激し、競争を活性化するきわめて効果的な手段だと信じる。(ミルトン・フリードマン「資本主義と自由」村井章子訳p247-248)