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租税、会計、経済学その他の覚え書き

実地の調査以外の調査について

税務署から所得税の申告について聞きたいことがあると電話があった。

確定申告書の間違いを指摘され、訂正が必要なことを知り、こちらが認めると最後に「税務署側で更正しておきます。結果は後日通知を郵送しておきますネ。」と言われプツリと電話を切られた。

 

あまりの唐突なできごとに状況がうまくのみこめないでいたが、よくよく調べてみると「実地の調査以外の調査」という税務調査であることがわかった。

 

こちらとしては申告書に間違いがある以上は、間違いとして認めるものの、行政指導か税務調査かの区別をあいまいにしたまま、最後に「こちらで更正しておきます。」というのでは納得がいかない。

 

そもそも国税通則法改正の趣旨は、調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高めることにある。そのうえで調査の事前通知や結果の通知が法令上明確化された。にもかかわらず、法律においてほとんど手続きが規定されていない「実地の調査以外の調査」という領域で更正処分を行うことは調査手続きが不透明になり、予見可能性も損なわれることとなり、法の立法趣旨に逆行する行為である。

 

また国税通則法74条の13*1では調査(ここには“実地の調査以外の調査”も含まれる。)をする場合、職員の身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならないと規定している。電話での“実地の調査以外の調査”は身分証の提示を求めたくても求められないという状況においての調査である。となると電話での調査は法律が予定している調査でないことは明らかである*2

 

「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について」と題する事務運営指針では実地の調査以外の調査として「電話又は書面による調査」を挙げている。法律に違反した電話による調査を事務運営指針で、さも適法な手続きであるかのように記載するのはもってのほかである。

*1:国税通則法74条の13:国税庁等又は税関の当該職員は、第七十四条の二から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査、提示若しくは提出の要求、閲覧の要求、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施をする場合又は前条の職務を執行する場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

*2:金子宏「租税法(第二十版)p851」では“通則法74条の13の規定は、単なる訓示規定ではなく、強行規定であって、これに違反する質問・検査は違法であり、それに対しては応答義務ないし受忍義務は生じないと解すべきである。”としている。